予想を覆した男

去年の夏を過ぎて、一人の男の子Sが入塾してきた。
サッカーをずっとやってたその子は、気の優しいやつだった。
得体のしれない子だったので、後輩たちにも聞いたら、
試合には出れないけどチームのムードメーカーとのこと。

優しい男の子は、授業の時に、
多少納得がいかず、わからなくても「わかる」と言ってしまう癖がある。
例に漏れずこの子もそうだった。

しかし、塾に来るまで、全く勉強をやってなかったというから、
察して、中1のはじめからやり直しをしてもらった。(うちの塾の真骨頂です)

私があげたテキストが、初めて勉強する物だったと思うのだが、
水を得た魚のように、黙々と学習に取り組んでいた。
周りは、中3の内容を進めているのに、一年生の内容からやり直してくれた。

よくできる子で、真面目な奴だなあと感心していたが、
私は、正直、入試には間に合わないと思っていた。
お母様にも、冬の面談でそう伝えた。

冬休みを迎え、なかなか成績が伸びない中、
いつの間にか、得意になっていた数学を中心に、あきらめずに頑張っていた。
保護者からの、「勉強しなさい!」がいつの間にか、応援、サポートに変わっていた。

志望校を聞いたとき、100%無理と思っていたが、2月には、ひょっとしてと感じるようになってきた。
しかし、今までそれでかなりの数裏切られてきたので、やはり私は、半信半疑。

入試を迎えた。
相変わらず、感情をあまり表に出さない優しい表情だったが、
面接の準備は全くできていなかった。
やっつけではあったが、修正を加えて、臨んでもらった。

そして今日、LINEが来た。

「うかってました~」

奇跡が起きた。
自分を信じて頑張った努力が実った一瞬だった。

いい意味で、予想を覆してくれた。
うれしい。

勝因は、内申点(提出物をちゃんと出していた)だと思う。
日々の素直な心。
大事かもよ(^^)